オンコロジストの独り言

天下の悪法「個人情報保護法」を考える

天下の悪法「個人情報保護法」を考える

浜松医療センターが日本初の「オープンシステム病院」として開院したのは1973年(昭和48年)で、母体となった浜松市医師会病院が発展的に移行したものです。オープンシステム病院とは、病院施設、医療者の智恵を院外主治医(医師会々員)と院内主治医(病院勤務医)とが協力して活用し、患者の診療にあたる仕組みです。この仕組みができた当時は、浜松市医師会員の100名近くが、オープンシステム機能を利用していました。具体的には、浜松医師会員が各自の診療所で昼過ぎ(あるいは夕方)まで診療した後、往診の形で、医療センター入院中の患者を回診し、その際、院内主治医と、意見交換したり、退院後の対応を決めたりと、今で言うところの病診連携で、しかも顔の見える形での有機的な連携が実現されていました。 私の父渡辺登氏は、このシステムの定着、実践にとても熱心でした。私が医学生の頃は、帰省の度に白衣を着て父の後について医療センター回診に行ったものでした。医療センター医師、院外主治医、看護師、放射線技師、病理診断医といった人たちとも、いつの間にか知り合いになり私は「渡辺登先生の坊ちゃん」と格付けされておりました。時代は下り、2005年に私が父の後を継いで浜松に戻ってきた頃、同じように、父と一緒に医療センターを回診するのが日課でした。しかし、状況はだいぶ変わっていました。そもそも浜松市医師会員でオープンシステムを活用している医師は10人たらず、年配の医師ばかりでした。いくつかの病棟をまわっても、ナースステーションからは、どこのじいさんが来たんだ? みたいな目でみられていましたが、父は一向に意に介せず、右手を挙げて、後はよろしくと、意気揚々と階段を降りて行きました。2007年に父が他界した後も、私は浜松オンコロジーセンターでがん薬物療法を担当した患者が入院した際の回診、診療カンファレンスや、病理診断カンファレンスなどをオープンシステムの利点を活用して院内主治医との討議、意見交換の形で活用し、治療方針の決定、手術の是非に関するディベートなどをしてきました。このような活動は「真実は必ずしも一つではない。」「Aという考え方もあればBという考え方もある」という懐の深さや、ロジカルシンキング、すなわち、自分がなぜAという治療方針がいいと思うかを、相手に分かるように、論理的に説明する鍛錬になり、EBMの基本でもあります。また、「カンファレンス」の語源は、con = いっしょに、力をあわせて、ference=物事を遂行する、話し合う、という意味。時間と場所と、情報と知識と理解を共有して、正しいことに肉薄することです。このような理念がオープンシステム、病診連携には内包されているのです。 Conferenceのconは一緒にということですから、討議の対象は、院内症例も、院外症例も、院内主治医と院外主治医が討議対象としてしかるべき、それだからカンファレンスの意義があると思うのですが、今日、浜松医療センターに行ったら病理の小澤先生に呼ばれて、「このような形の病理カンファレンスは、個人情報保護法に抵触し、病院機能評価でも咎められるし、がん専門拠点病院の認定要件にも抵触するので、今後、廃止したい、との下知(げち、女城主直虎参照)が下りました。院内症例は勤務医の所轄の問題なので勤務医だけで討議する、院外症例は院外主治医の所轄なので院外主治医だけが討議するよう、病理カンファレンスを別々に行う、ということです。がん薬物療法の専門家からすれば、所轄以外の院内症例の治療方針について外科医にとって有益な助言、提言、示唆、指導があると思います。たとえば、国立がんセンターでの外科内科の合同カンファレンスでは、内科は所轄以外である外科担当症例についての意見を述べますし、外科も内科提示症例について、外科の立場から提言をしてくれます。このような異なった立場、異なった専門、ことなった経験を背景として専門医療者が、智恵をあわせる、ともに事を進めることは極めて有意義なことであるのに、今回の下知は、そのような英知を崩壊させるものであると思います。 我々医療者は、様々な律法により「守秘義務」が既に課せられています。「業務上知り得た患者の情報は口外しない」ことは、ルールを超えた、マナーであり、常識であります。正確な基礎情報を提供する電子カルテを供覧しながらの討議では、患者の個人情報は当然共有されます。匿名化していない情報は、要配慮個人情報に該当し、これを、所轄症例ではない医師が知ることが、「不適切な第三者への提供」ということになる、と個人情報保護法の規定を解釈するのなら、小澤先生の言い分は、間違ってはいないでしょう。しかし、カンファレンスの廃止で失うもの、患者が被る不利益も多大なものとなることは、専門家の立場でないと分からないことですが、大問題であります。刑法134条により医師は既に法的に秘密漏洩は硬く禁じられており、オープンシステムの理念を正しく理解した医師は、「最も適切な、客観的意見を提言できる理想に近い第三者」であるのです。個人情報保護法が発行されて以来、医療者は、訳の分からない呪縛におびえ、本来、共有すべき情報を不適切に隠蔽していると思います。過剰反応も目につきます。 ユダヤ教では600を超える律法に縛られています。そこに登場した主イエスキリストは、600を超える律法よりも、もっと大事な教え「神を畏れ、隣人を愛しないさい」を説きました。悪法を廃して、事の真実を見つめること、それが今の社会にも大切です。個人情報保護法の呪縛は、いったん横において、我々が今、なにをなすべきかを、小澤先生もよく考えてみたらどうでしょうか。ついでに新院長も。

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乳腺外科医の時代的変遷

乳腺外科医の時代的変遷

今週月曜日に東京の名門病院で研修をしている若手医師が当院に見学にきました。若手医師は乳腺外科を志望しているとのことですが、現在の病院では画像診断医がMMGの読影や超音波診断、針生検を行い、薬物療法は全て腫瘍内科医が担当しているそうです。それはそれで正しい姿ですが、若手医師にしてみると今後の我が身の姿、自分の役割をどう描いていったらいいのかと、深く深く考える契機になったようです。そこで上の図のような私の持論を絵に描いて渡して説明しました。これは乳癌診療のみならず他臓器のがん診療における役割分担の変遷としても当てはまることだと思います。20世紀、昭和の時代は、乳腺外科医が診断から終末期医療までを担っていました。ところが、私のような腫瘍内科医が薬物療法を担当、P子先生のような診断医が画像診断、針生検を担当、となっていると、らっきょうの皮むきのように、皮をむいてむいてむいていくと中心に小さく残る領域は、「手術」であり、乳房温存術、センチネルリンパ節生検、腋窩郭清 などの技法である。乳房全摘後の再建は、人工物を使う手技も、自家組織を使う手技も「形成外科医に丸投げする」という選択肢を乳癌学会はとった。しかし、ツバルのように領域が狭く狭くなってきた状況で、新たな領土となりうる、人工物を使用した再建術、これを手放したのは痛い。しかし、これから乳腺外科医を目指す若者は、oncosurgeryだけではなく、plastic surgeryも、我が身の修練の対象とするべきである。諸外国ではすでに「oncoplastic surgeon」という守備範囲で乳腺外科医が活躍を開始しているのである。つぎの世代を生きる現在の若者は、新しい姿を模索するべきである。

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正しい知識は安心の灯

正しい知識は安心の灯

ただしいちしきはあんしんのともしび 昨今のマスコミ報道を見ていると、有名人が乳がんになり間違った情報、間違った知識、間違った理解に基づいて、とんでもない、いかがわしい、あきれた治療(治療とは言えないような民間施術)をうけ、あげくのはてに同じ病気の多数の人たちを不安と混乱にに陥れている、という現象が見受けられます。有名人の状況についてTwitterやFacebookなどのSNSで不用意に発言すると血祭りにあげられたりブログが炎上したりと、ろくなことがありません。私は頑なに「有名人の病状公開は単なる売名行為でありいちいちコメントするに値しない」という立場を貫いています。 それにしても抗がん剤治療にしても術前薬物療法にしてもホルモン療法、分子標的療法にしても手術や放射線の意義にしても、「有名人の病状公開」の内容はどうかと思うような内容が大変多いです。しかし、これを真に受けて、同じ病気であってもまったく関係の無いような症状であっても多くの人々がかえって不安に陥っている現状は本当にかわいそうに思います。全ての患者が正しい知識を持てとは言いませんが、もし、正しい知識を提供できる医師に巡り会えれば、それは、不安に迷える人々にとっては安心に導く灯(ともしび)でありましょう。難しいことはわかりません、という人も多いと思いますから、そんな場合は少なくとも「有名人の売名行為」の報道などの間違った知識や情報に振り回されないよう、冷静に安心の灯を探してほしいと思っています。

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夏が来た

夏が来た

乳癌学会も終わり本格的な夏がやってきた。16日は駿河湾ヨットレース、親友の高木くんは今年、新艇に乗り換えはりきっている。ぼくも「バラスト」として搭載してもらった。高木くんはセオリー通り、手術中は若い者の頭突きするそうだが、海の上では冷静だ。そして結果は、優勝!! これで夏の伊豆合宿もますます盛り上がると思う。乳癌学会の総括は次回にお伝えします。

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つばめ総括

つばめ総括

有賀先生 つばめの話、6月の終わりから出張やらこばやしまお騒動でいらぬ不安をかりたてられた女性が外来に押し寄せ多忙で、顛末をお知らせしていませんでしたね。順調に発育した5羽の兄弟姉妹たちは6月23日、まず3羽が巣立ちました。朝5時に外回りの仕事に出て、巣を見たら2羽しかおらず(写真1)、探したら近くの電線に3羽の小ぶりな雛と、1羽の親鳥が留まっているのを見つけました(写真2)。残りの2羽は2日後に巣立ち、昼間は「空の巣(からのす)」になりました。ところが、巣立ってから1週間ぐらい、夜は巣に戻り、混雑した実家でパパ、ママも一緒に眠っていました。昼間は空の巣(からのす)、夜は実家でお休み、という日が数日続きましたが、今は夜も昼も空の巣で、専用つばめシートは来年まで倉庫に格納しました。ところが、福岡に出発した日の朝も、巣のあるあたりをピーピーと、つばめが飛来しておりました。巣立った子供たちがお礼参りに来たのか、高級マンションへの入居を検討している別のお客さんかはあきらかではありません。以上、つばめ総括でした。来年も火薬のセミナー、昭和の味付け、宜しく頼みます。 写真1) こちらを見ているのがキチジロー、その後ろにもう一羽隠れています。 写真2)一番左の親が、餌を運んできます。まるで聖路加のような過保護ぶりです。 写真3)夜は実家でお休みです。玉岡さんは「エビ天丼の特上みたいですね」と。うまい! 座布団一枚!!! さすが「魚あら」経験者。        

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あきれた「セピア色の昭和」的議論

あきれた「セピア色の昭和」的議論

有賀先生 久しぶりですね。今日のセッション、毎年感じることは「過剰な診断、間違った治療」ということ。あれは診断の会だから仕方ないけどスポンサーは治療屋さんなのにね。非浸潤がんの議論なのにグレードの事も論じず、いきなり全摘か??? しかも「取ったら浸潤がん、だけど取り切れたから術後の治療はなし」とは、あきれて物が言えなかったところに、再発したら、こんどは有賀先生がAC→タキサンだって??? 再発も明らかなLuminal Aタイプ、腋窩リンパ節多数に再発。「local recurrence」なので切除は標準的だろうけど、アナトミーからバイオロジーが時代のトレンド、「ライフサイエンス研究の進歩」が今回の学会のテーマだぜ。ケモはないだろう、ケモは。さらにさらに「年令が若いからケモをがっちり!!」、みたいな発言もあって、あきれてものも言えないね。年令はケモの効果予測因子なんて、昭和の時代の間違った考えを引きずっている不勉強な若者がいることを知りあのカンファレンスを取り仕切る指導者たちも、やりがいあるね。まあ、あれは診断の会だからしかないけどね、スポンサーの青○さん、会場で青い顔していたね。つぎにつばめの話をします。

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雨天順延

雨天順延

つばめの子たちも親と見間違えるぐらいに育ちました。5個の卵が5羽の雛になり、昨日は1羽の雛が巣の縁の外側につかまっていました。今にも巣立ちそうですが、あいにく今日は雨。雛たちは巣でおとなしくしています。

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歪曲の末路(わいきょくのまつろ)

歪曲の末路(わいきょくのまつろ)

行政特区、岩盤規制、官僚社会、という一連のキーワード。我々の日々の生活と無関係ではない。(事例1)ちょっと買い物をと思い、路地に駐車しといたら駐車違反の紙を貼られてしまった。先日、高速で20km/hオーバーでねずみ取りに引っかかり、このままだと免停になる。よし、友達のお父さんの県警部長に頼んでもみ消してもらおう。(事例2)中学3年生のできの悪い娘。遊んでばかりでタバコ、アルコールは当たり前。お父さんは歯医者さん、それなりの地位がある。このままだと三流高校、すけばん高校にも入れないかもしれない。よし、お父さんの患者の市議会議員に頼んで、市立高校にどうにか合格させてもらおう。こんな小細工を知り合いの警察官僚、地方官僚にお願いしたという話。官僚社会の抜け道で、さもしい、いやしい行為である。倫理意識が多少向上した現代は以前ほどは横行してはいないが、まだまだそれが正しいと思っているソサイエティーは存在する。 江戸幕府以来培われ明治政府で完成した官僚に規制された行政組織の中で、我々は安心・安全な日々を送ることができるが、そこに岩盤のような突破できない不便性、行きすぎた規制と感じる時、悪いことをしないと突破できない、あるいは、官僚による行政の枠を外して自由に、やりたいように、特別な地域をつくり、思い切った改革のモデルをつくろう、ということで、○○特区、というのが提案されて実践されてきた。特区というのはあくまで、モデルとしてやってみて、行きすぎ行政機構によるやりすぎ規制を見直そうというものである。しかし、阿部政権、昭恵夫人、は、立場を利用して、お友達に便宜を計ってしまったため、今回の一連の疑獄事件に至ったのである。第一次阿部政権のときも強行採決をやりまくった。あのときは潰瘍性大腸炎の悪化で、お腹が痛くなって首相を降板した。そのときの失敗に対する反省からではなく、潰瘍性大腸炎のサラゾピリン、ペンタサ、アサコールやリアルダといったメサラジン(5-ASA)系薬剤の進歩のおかげで、再登板の阿部首相は、お腹が痛くならず、強引な政権運営を実現できるようになったのである。今の阿部政権には、「強力なリーダーシップ」と言う表現は当たらず、「身勝手で強引な政権運営」で、多くの国民の心に陰を落としている。お友達とのクラブやバーベキューの写真が世の中に流出、そのお友達のために特別な便宜を図っているだけのはなしで、天下国家を論ずる姿とはほど遠い。アサコールによる体調管理とおばかな昭恵夫人の身勝手な行動に端を発した阿部疑獄の終焉は近いような気がする。「行きすぎた医学の進歩が国を滅ぼす」という國頭英夫くんの名言はここにも当てはまる。改めて、市立高校に裏口入学したすけばんの現在を確認してみた。表向きはハイソな奥様を演じているが、その行動はやはり身勝手で世間知らずのスケバンである。歪めた行政の産物であるが本人、周囲はそれを認識していない。歪曲の末路は必ずやってくる。

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羹に懲りて膾を吹くノバルティス

羹に懲りて膾を吹くノバルティス

  「羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)」とは: ある失敗に懲りて、必要以上に用心深くなり無意味な心配をすることのたとえ。羹(肉や野菜を煮た熱い汁物)を食べたら、とても熱くて懲りたので、冷たい食べ物である膾(生肉の刺身。鱠では生魚となり誤り)を食べる時にまで息を吹きかけて冷ましてから食べようとしてしまう、という状況を表している。 昨日の多地点カンファレンスでノバルティス(沖縄の営業担当者)から、是非話したいということで45分間にわたりEverolimus(アフィニトールⓇ)やOctreotide(サンドスタチンⓇ)による「神経内分泌腫瘍」治療のレビューを聞いた。それはそれは素晴らしい話であり、一同感銘を受けた。こうなったいきさつは、前回佐々木御曹司が「『神経内分泌的特性を備える』乳がんに対して、彼の前任施設では、神経内分泌腫瘍の性格を有すると言われる小細胞肺がんと同じように、エトポシド、シスプラチンによる治療をしている」という話をしてくれて、賛否両論、議論が盛り上がったからである。確かに、カルチノイドとか、膵臓、消化管の神経内分泌的性格を有する腫瘍や、間脳下垂体の異常による成長ホルモン過剰産生疾患(末端肥大症、巨人症)でも、サンドスタチンや、その改良型であるソマチュリンが効果を発揮するし、抗がん剤としてはプラチナ、エトポシドなども使用されることがある。だから、類似の性格を有する乳がんの病型に対しては治療戦略かも知れない。そんな状況でのノバルティスからの自発的申し出に対して一同、期待に胸を膨らませたのであった。営業サイドとはいえ、ノバルティス社員としての参画は、おそらく、開発部門、パブリックアフェアーズ部門からも、乳がん治療研究、診療に対する支援の意志表示と捉えたのである。つまり、我々が興味を有する、「神経内分泌的性格を有する乳がんに対する、サンドスタチン、アフィニトール併用の臨床第2相試験」的な研究に対してノバルティス社が何らかの支援をしてくれるのではないか、ということである。45分もの長きに亘る商品説明のような話を聞かされた後、質問してみた。「御社はこの多地点グループの臨床研究を御支援下さるおつもりがおありのことと思いますが如何でしょうか?」と。その返答は「ノバルティスは臨床研究試験は行えない状況です。」とのこと。確かに、降圧剤でデータ改ざんをしたり、研究者になりすまして社員がうその報告をしたり、と、ノバルティスの悪行は許しがたい。しかし、だからといって、何も活動をしない、自分から言い出しておいてノバルティスは臨床試験には関与できないのです、ということでいいのだろうか。悪行は働いてはいけないが、だからといって本来すべき企業活動からも手を引いてしまう、というのはまさに「羮に懲りて膾を吹く」の諺の通り!と思った次第である。

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つばめちゃんの成長

つばめちゃんの成長

ASCOで勉強している間、浜松の見守り隊が毎日の生態観察日記を送ってくれます。雛は5羽の模様、今のところ、落下、カラス襲撃、その他のアクシデント、インシデントはなようです。まだ、研ナオコのようなブス顔ですが、成長が感じられます(写真参照)。明日、日本に向かいます。さよなーらーシカゴぉ〜、さよなーらーミシガン湖〜・・・・・。帰りの機内映画は遠藤周作原作の「沈黙」を見よっと。原作は高校三年の時に読みました。無事の帰還を祈って下さい。

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鼠と鴎(ねずみとかもめ)(a rat and seagulls)

鼠と鴎(ねずみとかもめ)(a rat and seagulls)

今日は冷房がキンキンによく効いて、外からカモメの声が聞こえるホールD2で乳がん初期治療のセッションがありました。初っぱなの演題が「APHINITY TRIAL」の結果です。HER2陽性乳がんの術後のACとかの抗がん剤のあと、ハーセプチンを1年(+プラセボ1年)使用する標準治療群とそれにパージェタ1年を上乗せする試験群との比較、症例数は4803人、日本からも303人が被験者として協力してくれている。4年の時点での無再発割合は、92%対90%、統計学的には、P=0.045、ということで有意差が出たということである。この試験結果、実は、今年3月のSt.Gallen Conference直前にロッシュ(日本では中外の殻を被っている)がプレスリリースをして有意差があったぞっ!!と大騒ぎになり、それをうけてSt.Gallenのパネリストの間でのメーリングリストで、投票(Voting)の質問に加えるかどうか、が問題となったが、科学的なデータも見ないで科学者が踊らされてはいけない、ということで様子見になりました。パージェタと言えば、HER2陽性の再発乳がん患者で検討したクレオパトラ試験で生存期間を1年半も延長させるというしっかりした結果が出ました。そして、「プレスリリースで有意差」ということもあり、Late Breaking Abstract、つまり直前までAbstact(抄録)が公開されない、という、期待を膨らませる要素が三つもあったので、会場はセッション開始前から熱気に包まれていました。ところが発表の内容はちょっとがっかり(´・ω・`)。その部分が終わると会場から聴衆の半分ぐらいがぞろぞろぞろと出て行ってしまいました。佐伯俊昭先生も頭を抱えて出て行きました。こ大山鳴動して鼠一匹でたよ、とはこのことです。その後の発表は、寒い室内に空しく響き、凍えそうな広いホールでカモメの声がこだまする、まるで、「津軽海峡冬景色」のような時間が流れています。以上、会場からお伝えしました。あ〜あ あ〜♪・・・・

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トリプルネガティブは暗くない

トリプルネガティブは暗くない

トリプルネガティブ乳がん(Triple Negative Breast Cancer)は、そもそもER(エストロゲン受容体)、PR (プロゲステロン受容体)、HER2の三つが陰性のものをいうので、ホルモン療法、抗HER2療法は効きません。だからと言って何も効かないか、というとそうではなく、術前化学療法の細胞毒性抗がん剤が劇的に効いて、しばしば病理学的完全効果(Pathological Complete Response: pCR)、すなわち手術でとってみたらがんがすべて消えていた、という状態をしばしば経験します。細胞毒性抗がん剤も確かに副作用は強いです。しかし、我々のような熟練した腫瘍内科が行えば、副作用は一時的で必ず回復します。その技は、ガイドラインにのっているような知識でも、お作法の繰り返しの経験でもなく、センスと洞察力を働かせた日々の修練の積み重ねです。抗がん剤が効くTNBCをどうやって見つけるか、同時に、TNBCに効く今までとは異なったあたらしい分子標的薬剤がないだろうか、という方向に我々の努力は向かっています。 抗がん剤が効くような、あるいは特殊な分子標的薬剤が効くようなタイプを、いまTNBCと分類されているなかから見つけ出そう、というのが、今回の発表のうちの「4つの遺伝子の発現状況からTNBCを6病型に分類しよう」という試みです。今後期待しましょう。 TNBCの中には、BRCA遺伝子変異を有するものが少なからずあります。BRCAとは遺伝性乳がん・卵巣がんで問題になる遺伝子で、その遺伝子は、傷ついたDNAを修復する働きがあるのですが、遺伝子に変異がおきると、DNAを修復する力が落ちます。BRCAが働かない場合、傷ついたDNAはPARPという酵素により修理をうけますBRCAが変異している、あるいは働きがおちているときに、PARPがはたらかないと細胞は死滅します。この理屈を活用して、BRCAに変異がある乳がん患者をPARP阻害剤で治療するとがんの修復ができなくてがん細胞が死滅する、という治療法が今、注目されています。 わかりやすく言えば、Boeing787のひとつのエンジンが故障したときに、反対側のエンジンを止めれば、暴走した飛行機は不時着させることができます。しかし、その場合、相当な操縦技術が必要で、そう簡単にいくものではありませ。それが、今回のTNBCセッションの課題の二番目、PARP阻害剤の開発です。また、TNBCの中には、蠅がたかるようにリンパ球ががん細胞のまわりに沢山みられるタイプがあります。昔から病理の先生が腫瘍内浸潤リンパ球として着目してきたことです。ただ、そのようタイプを客観的に見つけること、検査方法の確実性(analytical validity)が乏しく秋山先生の判定と大井先生の判定がことなる、なんてことはざらにあります。とにかく、リンパ球が沢山たかっているということは、山口組事務所を警察ががさ入れするように、一触即発の状態ということです。そこで、免疫チェックポイントを外してしまって、たかっているリンパ球に、「進め−」の進軍ラッパを鳴らしてあげる、あるいは、警察が礼状を出して組事務所にがさ入れにはいる、ということで、ペンブロリズマブ、ニボルマブなどがTNBCの治療に活用できないかというのが三つ目に演題です。この結果は、効く被験者は治癒するぐらいによく効くが、効かない補とは全くきかない、という結果です。森元総理は効く人だったのでああやって、いいんだから悪いんだかわからないけど、活躍しているわけです。新薬の開発、対象症例の絞り込み、治療のマネージメントなど、いずれの側面でも、少し光明が見えてきたようです。

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株主では語れない話

株主では語れない話

HER2感受性では、「世紀のネガティブデータ」と呼ばれ2015年ASCOでポール・エリスが発表し会場からは質問もでず、拍手も乏しい発表で、大山鳴動して鼠一匹でありました。今回は、最終解析結果で生存期間も発表されるとうことでしたが、今年の1月に既にJCOに論文が出ており、内容は知っていたので感動もなく時間がすぎたのでした。その他ふたつの演題は、取るに足りないパセリの評価の話でしたので割愛します。 MARIANNE試験: 発表者はスライドにも「Edith Perez」となっていました。しばらく前に彼女がGenentechに移ったと言う話を聞いていましたが、今日はそのまま発表するんだなと思っていました。ところがというかやはりというか、Edith Perezの利益相反開示スライドに「Roshe/Genentech社員」「Roshe/Genentech株式所有」とあり、演者もカルロス・バリオスが勤めました。たしかにGenentech社員がこの発表をしたら総スカンにあうだろう、みたいな内容でした。 こMARIANNA試験が発表された2015年はトラスツズマブにヘルツズマブを加えたクレオパトラ試験の結果が公表された翌々年だったので、T-DM1にペルツズマブを加えれば、さぞかし素晴らしい結果がでるだろう」と会場は大いに盛り上がっていたのですが、結果が表示されるとどよめきと共に沢山の人が会場を立ち去っていきました。おそらく、Genentechの株主たちだったのでしょう。 今回も、結果としては同じで、生存期間の延長もなく、T-DM1にペルツズマブを加えてもいいことはないということでした。しかし、どうにか差を出そうと事前に計画していなかった解析をしてみたりしても何らポジティブな結果が出ていません。こんな恥ずかしい解析をもし、Genentech社員になったEdith Perezが発表していたら、それこそ二度とASCOには参加できなかったでしょう。今回も会場では見かけませんでしたので、おそらくどこかの保養地に友達にミッチーと出かけているでしょう。JCOにのった論文では、T-DM1はトラスツズマブ+パクリタキセルと同等の効果でしかも副作用がすくない、ということが結論となっていました。今回もその点にフォーカスを絞ればよかったのでしょうが、株主たちがこのような恥ずかしい発表に導いたに違いありません。

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頭を冷やそう CDK4/6阻害剤

頭を冷やそう CDK4/6阻害剤

今年のASCOは全体的に運営が合理化されました。学会参加の事前登録をすると昨年までは自宅にネームプレート、チケットなどが国際〒で郵送されてきましたが今年からは、会場でphoto IDを提示して本人確認して受け取るという仕組みです。世界中からやってくる参加者全員に事前に郵送するというのはお金もかかるし手間もかかる。なので、合理的っていえば合理的だけど、担当者がもたもたもたもたと印刷して、おしゃべりしながらの作業だけに長蛇の列ができていました。セッションの質疑応答のやり方も変わりましたがそれはまた別の機会に。 さて、今日は転移乳がんの治療のoral abstractセッションがありました。全体的に低調という印象でした。 ホルモン感受性、HER2感受性、Triple Negativeの3病型にわけて、アドリアだのタキサンだの細胞毒性抗がん剤はほとんど、いや全く話題に上らず、「生物学的治療(Biological Therapy)、もっと的確(precise)治療」という方向性は評価できると思います。 ホルモン感受性乳がん ホルモン剤(タモキシフェン、フルベストラント、アロマターゼ阻害剤)などの主役薬剤ではなく「サイクリン依存性キナーゼ4と6」を阻害する薬剤についての発表でした。 エストロゲン受容体刺激は細胞分裂周期を制御するタンパク質「サイクリンD1」に伝わり次に「サイクリン依存性キナーゼ4」と「サイクリン依存性キナーゼ6」に伝わり細胞周期のG1期(第一休止期)からS期(合成期)への移行を刺激、つまり、細胞分裂が進みます。サイクリン依存性キナーゼの働きを抑えると細胞分裂が停まりますG1 arrest:アレストとは逮捕するという意味:受験時代は「あれ、すっと逮捕する」と覚えた)。この働きをもつ薬剤が「サイクリン依存性キナーゼ阻害剤」というグループの経口薬、現在、しのぎを削って開発が進められているのが、パルボシクリブ(ファイザー)、リボシクリブ(ノバルティス)、アベマシクリブ(イーライリリー)です。アロマターゼ阻害剤もそうだったけど同種同効薬の開発は人間の本性が出るね。 MONARCH2試験 アベマシクリブの臨床第III試験で、おしりが痛いホルモン注射「フルベストラント(フェソロデックス)」+アベマシクリブ対おしりが痛い注射「フルベストラント」+プラセボの比較試験です。結果は、無増悪生存期間(つまり病気がすすまない期間、治療が続けられる期間)は伸びるけど、アベマシクリブ併用では、下痢が86%、激烈な下痢が13%の被験者に生じ、投与量を減量しなければならなかったということでした。投与量を減量しても下痢は軽減するそうですが、効果は損なわれなかったと、発表者のジョージ・スレッジは、ヴォーゲル・ニューヨークの質問に答えていました。生存期間は「まだ観察期間が短いのでわからない」ということでした。生存期間の話は次のパートで触れるとして、おしりが痛いホルモン注射「フルベストラント(フェソロデックス)」をさらに長い期間注射しなくてはならず、また、下痢でおしりの周りはただれて座るのも歩くのもつらい、しかも、生存期間はのびないだろう、といことでは、患者さんを本当に幸せにしているだろうか、と首をかしげたくなります。  POALOMA2試験 次の演題は、三者のなかでは開発が先行しているパルボシクリブ(ファイザー)についてです。この薬剤については、大御所「デニス・スレイモン」が昨年のサンアントニオ乳がんシンポジウムで、おしりは痛くないけど関節がこわばるホルモン剤飲み薬「レトロゾール(ジェネリック製剤18品目および老舗ノバルティスのフェマーラ)」+パルボシクリブ対レトロゾール+プラセボとの比較で、無増悪生存期間(つまり病気がすすまない期間、治療が続けられる期間)が伸びる、だけど生存期間は「まだ観察期間が短いのでわからない」という発表があり今回は満を持して、生存期間について発表ということで激しく期待したのですが、激しく失望しました。結果は生存期間のハザード比0.813(95%信頼区間0.429〜1.345)、P値0.42ということで常識的に考えれば「差はない」ということです。しかし、デニス・スレイモンを生涯の師と仰ぐ演者のリチャード・フィン君は「数値上(numerically)、37.5ヶ月と33.3ヶ月で4.2ヶ月の生存期間の延長は認められた」とシャーシャーと言っていました。勝俣先生が知ったら口をとがらせて怒りまくるでしょう。「生存期間が延長しないけど、無増悪生存期間は延びるということは、細胞毒性抗がん剤治療期間を短くすることができるというメリットがある」と言うような全く根拠のない、その場しのぎの説明もしていました。お若いフィン君、ファイザーの毒牙にかかってはいけないよ。増田くんにも言っておいたけど、今のうちに「研究者の正義」を学ばなければいけませんよ。   TREND試験 イタリアからの発表です。ホルモン剤が効かなくなった被験者を対象にして、そのまま(効かなくなった)ホルモン剤にパルボシクリブを加える群と、パルボシクリブ単剤を内服する群との腫瘍縮小効果、効果持続期間などを比較するランダム化比較試験で前の2試験が製薬企業お抱えドラッグハンター試験であるのに比べ、手作り感満載、まるでJCOG試験のような暖かみのある試験です。しかし、片群60症例づつですので結果はしょぼく癌治療学会で発表されるような内容でした。CRは共になく、PR6例と4例、24週以上のSDがホルモン継続してパルボシクリブを加える群25例対パルボシクリブ単独群31例という結果です。効かなくなったホルモンをやめてパルボシクリブだけにしてもいいよ、ということはいえるのでしょうか?   以上の3試験をVanderbilt大学医療センターのイングリッド・メイヤーさんがレビューをしました。彼女のまとめは: CDK4/6阻害剤は単剤で使えますか?→たぶん使えないでしょう。 CDK4/6阻害剤とアロマターゼ阻害剤併用は生存期間を延ばすか?→もうちょっと見ないと・ 私たちはCDK4/6阻害剤とアロマターゼ阻害剤を全ての患者でつかうことになるでしょうか?→そうはならないでしょう。生存期間の延長が証明されれば別だけど・・・ CDK4/6阻害剤は治療のどこかでは使用した方がいいのでしょうか?→それはその通りです。QOLもいいし、効果が伸びるし、化学療法の開始を遅らせることができるから。 ということした。一方私のまとめはというと 大山鳴動して鼠一匹とはこのことだ。いままでもタイケルブとか、アフィニトールとか、効果持続期間は延長しても生存期間が延びないという薬剤はろくでなしばかりだ。 しかし、CDK4/6阻害剤が一錠500円ぐらいで下痢もロペミンで治まるなら使ってもいいかな。でちょっと調べてみたらアメリカで承認されているパルボシクリブ(商品名:IBRANCE(イブランス)は1錠、842.38ドル、ふーん、えっ? ドル?? ということは92998.45463986円つまり1錠9300円、1ヶ月で30万円近くになる。しかもおしりの痛い注射と合わせて使ったら、お金はかかる、おしりは痛い、下痢はする、とろくなことがない。ということでこの薬は必要ないと思うけどどうだろう。何かいいことあるかなー??? 副作用のすくないケモはいくらでもあるしずっと安上がりだと思うけど・・・。三者とも米国資本だし、沢山使えばMake America Great Again!! の旗印のもと、トランプおじさんに気に入られるから一生懸命、サイエンスをビジネスにしているのでしょうか。しかし、彼も弾劾されるよだし頭を冷やして考えよう!!

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燕孵化確認通知

燕孵化確認通知

シカゴ出張中のところつばめ見守り隊のすみちゃんから孵化の連絡がありました。今のところ1羽です。黄色いくちばしが見えます(点滴棒の先にスマホを縛り付けて撮影)。

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決める人は決めなさい

決める人は決めなさい

「内閣府の上の方からの意向です」というメモを作ったのは決めるべきことを決められない文部科学省の小役人でした。国の行政、すなわち各省庁の小役人は「決めるべき事が決められない」という習性があります。「行政の不作為」という言葉はいつの時代から存在したのでしょうか? これはすなわち、「小役人が臆病なので最終決断ができない」ことが原因で「小役人は物事をきめない」、「決定を先送りしても何となく許される」、「それは重要な問題ですね〜」と、うだうだ言っていると、人事異動の時期になり「後任の者によく伝えておきます。」と、なにを伝えたかというと「うだうだしていればいいです。移動が決まったら、後任の者によく伝えておきます、と言えばそれで済みます。」と言って、うだうだ、うだうだがいつまでもいつまで続きます。我々の領域での「うだうだスパイラル」はオンコタイプDXや遺伝性乳がん遺伝子検査の承認問題、主役は厚生労働省の小役人たち、それと乳がん学会側からは、交渉べたのAかしSだCOさんです。保健償還できるようにする方向と、先進医療とする方向という、異なった2つの解決策、2つの異なった担当部署の間、しかもそれぞれが異なった時期に異なった周期で人事異動しているのでうだうだスパイラルが永久に続くのです。安倍首相が業を煮やし、官邸主導で一気に事を進めたくなる気持ちはよく分かります。首になった事務次官が腹いせに「行政が歪められた」と威張っていますが、要は、決めるべき立場の人が決めないからややこしいことになるのです。AかしSだCOさんが昭恵夫人だったらよかったのに・・。

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この世の変遷

この世の変遷

天下の聖路加病院に労働基準監督署から「土曜日の外来診療実施は労働基準法違反」との指導がはいり、土曜外来を閉鎖することになったとのこと。それで困るのは土曜日しか病院にいけない中小企業の労働者ではなだろうか? また、深夜、急変した患者の対応をした医師は翌日休んでいい、ということで、大事なカンファレンスも平気で休む医師が多い。日本が「社会主義国家」どころか「共産主義国家」になり、医師も一労働者として、世の中の歯車として地味に生きなさいということになっている。それでもいいけど、医師はやはり専門職としてそれなりの評価と尊敬をうけており、また、自覚と責任をもって世の中の期待と信頼に応える、ということになっていたはずである。では医師法にある「応召の義務」はどうなるんだろう? 医師法第19条 「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」ということで、『患者が貧困であるという理由で、十分な治療を与えることを拒む等のことがあってはならない』とか、『休診日であっても、急患に対する応招義務を解除されるものではない』と言うことになっているので、当直開けでも、夜間、看取りをして翌朝、病理解剖に立ち会って、遺族を送り出して、そのまま外来勤務して・・・というのが当たり前と、医師法では規定されている。 それだけ、医師の専門性を評価しているとも言える。しかし、労働基準監督署があれこれいうようになって医師も一労働者、ホワイトカラーではなくってブルーカラー、ということになれば、専門職としてのプライドを持つ必要もなく、寝食を忘れて勉学に励むなんて馬鹿なことはやめて、正当な評価としてベンツやポルシェに乗っていたのをやめて、スズキスウィフトに変えて9時5時シフトに徹底すればいいってことになる。それでも医学部に行きたいという若者がいるだろうか? それなりのプレステージの背景にはそれなりの自己鍛錬と自己犠牲があったはずだ。 聖路加病院で思い出したが山内先生が「最近の若い者は『ほうれんそう』ができないのよ」と年寄り臭いことを言っていた。ほうれんそうとは、報告・連絡・相談 のこと。つまり、若者が上司に、患者の○○さん、検査結果改善していましたなどという報告、病棟業務が長引いて勉強会欠席しますなどという連絡、遺伝子発現研究についてご相談がありますなどという相談のこと。しかし、ほうれんそうができない、なんていうのは、いまや当たり前のこと。もう、君には期待しないよ、というほど、ラインで連絡しても既読無視は当たり前。バーベキュー大会やるからきてね、出欠を教えて、といっても返事もよこさない、また、お土産を買ってきてあげても、お礼も言わない、といった、返事・報告・連絡・相談・お礼、など、とにかく人と人との関係性の潤滑油も枯渇してしまった。この世の急激な変化に、ついつい、今の若いものは、という愚痴がもれる我々、還暦世代である。

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初夏のつばめ

初夏のつばめ

このブログでも浜松オンコロジーセンターが開院した12年前、玄関軒先につばめが巣を作り雛が巣立った話題をお伝えしました。幸せを呼ぶつばめの営巣、巣立ちは、その後、数年おきに続いていました。昨年、巣立ち前の雛がカラスに拉致されるという事件が起き、カラスにより半壊状態となった被災地は悲惨な姿を止めていました。ことし春先の悲しい出来事から49日経った頃、2羽のつばめが崩壊しかけた巣の下見にやってきました。そして、夏も近づく八十八夜の5月2日、小枝や泥、糞が巣の下に貯まるようになり、巣の修復作業開始が確認されました。しかし昨年の惨事もあり、やや気の重いつばめ対応でしたが、とりあえず、玄関先がよごれるので以前から使用していたつばめ専用シートを妙子が巣の下に設置、それを見た「いきものがかり」の職員があれは何?と関心を示しました。カラス襲撃事件の不幸な顛末を話すとネットでカラス防御対策を調べ、つばめ見守り隊が結成されたのでした。昨日、カラスよけネットを設置し、昨晩、つばめ夫妻の入居を確認しました。これから産卵、抱卵、孵化、巣立ちの夏を迎える浜松オンコロジーセンターから渡辺がお伝えしました。

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医師不足と異色の外科

医師不足と異色の外科

21世紀のこの時代にいまだにナンバー外科を誇っている大学があると聞いてびっくりしました。第一外科は消化器一般外科、第二外科は胸部外科、とかなっていて、一般というところに乳癌外科がふくまれていて、あるいは、内分泌外科というわけのわからない分類の中で乳癌外科が細々とやっていたり、胸部のくくりで乳癌が含まれていたりして、それで、消化器医一般外科の第一外科と胸部外科の第二外科の両方でどっちもほっそぼそとしかもでたらめにさらに違う流儀で乳癌外科がおこなわれていたりということが昔はあったと聞いていましたがいまだにある、というところを先週見てきて驚いた驚いたのでした。さらに消化器一般外科のくくりのなかに肝胆膵外科とか、胸部外科のくくりとして食道外科とか心臓外科とか、外科のなかでは大学院クラスと自分たちが思い込んでいる外科医たちが、同じ医局に加えられている「外科のなかでは幼稚園クラス」と見下している乳癌外科をいじめ抜いているという噂もありました。肝胆膵では最近、移植がこれまた花形で、これにまた異色の性格の外科医がはまり込んでいて肩で風切って歩いています。その異色外科医が乳癌外科は落ちこぼれだとか、女医は邪魔、なんて公言していて、しかも学生相手にそう言っているものだから乳癌外科を志す医師がほとんど枯渇していて診療レベルが極端に低下しかねないという現状を見ました。異色でもいいけど個人の偏った感情と感覚で、医療人材のリソースに歪みを生じさせているこの現状、愛がなければいけないのに愛のない、異色外科の世界での出来事だけでは済まない問題であります。また、そんな偏ったオレは偉いというような異色の人間が「教授選最有力候補」との下馬評だから、その科に属する切れ味鋭い乳癌外科医は、悶々とした日々をすごしているそうです。異色外科医でも広い心と全体感を持って仕切らないといけないし、なによりかにより21世紀のこの時代にナンバー外科はもう、やめにしてもらうよう文部科学省に配慮してほしいのですが、文部科学省は文部科学省で天下り問題でそれどころではないようですね。世の中、あっちもこっちも「ご臨終です。」

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人獣連携支援システム

人獣連携支援システム

長泉町にペットのがんを診療する最先端動物病院がオープンしたというニュースを見ました。血管造影、CT、MRIなど高精度大型機器により小さな命を守ります、との説明。当然、PET-CTもあります(笑うところですが・・ ^0^;)。飼い主は愛するペットにはいくらでもお金をかけます。私も例外ではありません。飼い主に義務化されている狂犬病のワクチンを打ちに行ったら動物病院は超満員。3時間待って首の付け根に注射されロビン(我が家の愛犬の名前です)はきゃんと一言。担当の先生から、こういう栄養剤もあります、セットでこんな予防注射もありますと言われると、じゃ、おねがいします、よかったね〜 ロビンちゃん、なんてまるで親ばかです。3万円の請求書にもなんの疑問もなく支払っちゃう。ペットは国民皆保険の対象外、100%自己負担です。自己といってもロビンが払うわけではありません。長泉の最先端動物病院も、親ばか飼い主がきっと殺到することでしょう。そういえば長泉には人間用のがん病院もありますが、まさか、動物と人間のがん医療の統合、なんていうことを考えていないでしょうね、山口ケンチャナヨ。

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